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    WebデザインとDTPデザインの違い

    WebデザインとDTPデザインの違いについて

    デザインの世界にはさまざまな分野がありますが、中でも「Webデザイン」と「DTPデザイン」は混同されやすい分野です。どちらも視覚的な情報を整理し、効果的に伝える役割を持っていますが、制作環境や目的、データの扱い方、デザインの考え方などが大きく異なります。
    このコラムでは、WebデザインとDTPデザインの違いを詳しくみていきましょう。

    WebデザインとDTPデザインの基本的な違い

    WebデザインとDTPデザインは、どちらも「デザイン」という言葉がついていますが、その目的や制作環境が大きく異なります。

    Webデザインとは

    Webデザインとは、Webサイトやアプリの画面デザインを作成することを指します。ユーザーがパソコンやスマートフォンを通じて閲覧・操作するためのインターフェースを設計し、視認性や操作性を考慮しながらデザインを行います。

    Webデザインの特徴

    • 動的なデザイン
      Webサイトはクリックやスクロールなどの動きがあり、アニメーションやインタラクションも考慮する必要がある。
    • レスポンシブ対応
      異なるデバイス(PC、スマホ、タブレット)での見え方を調整する必要がある。
    • データの軽量化
      ページの表示速度を考慮し、画像やコードの最適化を行う。
    • SEO(検索エンジン最適化)
      検索結果で上位表示されるように、適切なHTML構造やメタデータの設定が求められる。

    DTPデザインとは

    DTP(Desktop Publishing)デザインは、印刷物のレイアウトやデザインを行う作業を指します。雑誌、ポスター、名刺、パンフレット、チラシなど、紙媒体に印刷するためのデザインを制作します。

    DTPデザインの特徴

    • 静的なデザイン
      印刷されたものは変更ができないため、一発で完成形に仕上げる必要がある。
    • 高解像度
      印刷品質を保つために、高解像度の画像(通常300dpi以上)を使用する。
    • カラーモード
      印刷ではCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)のカラーモードが基本となる。
    • 用紙サイズや裁ち落とし
      印刷物にはトンボ(トリムマーク)や塗り足しを考慮したデザインが求められる。

    制作環境とツールの違い

    WebデザインとDTPデザインでは、使用するソフトウェアやデータ形式も異なります。

    Webデザインの制作ツール

    Webデザインでは、以下のツールがよく使われます。

    • Adobe Photoshop(画像編集)
    • Adobe XD / Figma / Sketch(UIデザイン、ワイヤーフレーム制作)
    • Adobe Illustrator(アイコンやロゴ制作)
    • HTML / CSS / JavaScript(コーディングによるデザイン実装)

    Webデザインでは、完成したデザインをHTMLやCSSを用いてコーディングし、実際にブラウザ上で表示・動作する形に仕上げます。

    DTPデザインの制作ツール

    DTPデザインでは、以下のツールが一般的です。

    • Adobe InDesign(レイアウトデザイン)
    • Adobe Illustrator(ロゴやイラスト制作)
    • Adobe Photoshop(画像加工)

    DTPデザインでは、印刷時の仕上がりを考えながら、適切なカラープロファイルやフォントの埋め込みを行います。

    データの扱い方の違い

    Webデザインのデータ形式

    Webデザインで使用するデータは、主に以下の形式です。

    • 画像ファイル:JPEG(軽量)、PNG(透過対応)、SVG(ベクター)
    • HTML / CSS / JavaScript:Webページを構成するコード
    • フォント:Webフォント(Google Fontsなど)

    Webデザインでは、ファイルサイズをできるだけ軽量化し、デバイスやブラウザの互換性を考慮する必要があります。

    DTPデザインのデータ形式

    DTPデザインでは、以下のデータ形式が使われます。

    • 画像ファイル:TIFF(非圧縮)、EPS(ベクター)、PDF(印刷用)
    • フォント:アウトライン化されたベクターフォント
    • カラーモード:CMYK(印刷用)、特色(PANTONEなど)

    印刷物は、色の再現性や解像度が重要となるため、データの扱いが厳密になります。

    デザインの考え方の違い

    WebデザインとDTPデザインでは、媒体の特性やユーザーの行動に応じてデザインの考え方が異なります。

    Webデザインの考え方

    Webデザインでは、ユーザーが 閲覧しやすく、操作しやすい ことが最優先されます。Webサイトは、スマートフォンやPCなど さまざまなデバイスで閲覧 されるため、デザインの柔軟性や適応性が求められます。また、ユーザーは スクロールやクリック などのアクションを行うため、インタラクティブな要素も重要になります。

    ユーザーインターフェース(UI)の最適化

    WebサイトのUI(ユーザーインターフェース)は、訪問者が 迷わず直感的に操作 できるように設計する必要があります。

    • ボタンの大きさや配置を適切にし、押しやすくする
    • ナビゲーションメニューを分かりやすく整理する
    • クリックできる要素(リンクやボタン)を視認しやすくする

    読みやすいフォントサイズや行間の確保

    Webページは 長時間読まれることもある ため、可読性を高める工夫が必要です。

    • スマートフォンでも読みやすい フォントサイズ(最低16px以上が推奨) を使用
    • 適切な行間を確保し、詰まりすぎたレイアウトを避ける
    • 明るすぎる背景や極端なコントラストを避け、目の疲れを軽減する

    クリックやスクロールなどのインタラクション設計

    Webサイトでは、ユーザーが クリックやスクロール、スワイプ などの動作を行います。これらの動作が スムーズで直感的にできる ようにすることが重要です。

    • ホバー(カーソルを載せたときの変化)で操作を分かりやすくする
    • クリック可能なエリアを広めにし、タッチ操作にも対応させる
    • スクロールを誘導するデザイン(矢印やアニメーションなど)を活用する

    モバイル対応(レスポンシブデザイン)

    Webデザインでは、PCとスマホで表示が異なるため、 レスポンシブデザイン (画面サイズに応じたデザイン調整)が必要です。

    • スマホとPCでレイアウトを最適化する
    • 画像やテキストのサイズを可変にし、デバイスに適応させる
    • タップしやすいボタン配置にする

    DTPデザインの考え方

    DTPデザインでは、「見た目の美しさ」と「情報の伝わりやすさ」 が最も重視されます。紙媒体では、一度印刷すると修正ができない ため、慎重にデザインを仕上げる必要があります。また、印刷物は 視線の流れやレイアウトのバランス を意識しながら構成されるべきです。

    視線の流れを考えたレイアウト設計

    印刷物は、Webサイトと違い、ユーザーが 決められた順番で情報を受け取る ため、視線の流れを意識したデザインが重要になります。

    • 文字や画像を 左上から右下へ 流れるように配置する(Z型・F型レイアウト)
    • 重要な情報を目立つ位置(中央や上部)に配置する
    • 余白を適切に取り、圧迫感のないデザインにする

    フォントや文字組みの細かな調整

    印刷物は、紙に印刷された状態で読まれるため、フォントの 可読性と美しさ が重要です。

    • フォントサイズの選定
      一般的な本文は9~12ptが適切(PCでの16pxと異なる)
    • カーニング(文字間隔)を調整し、バランスよく配置する
    • 行間(行送り) を適切に設定し、圧迫感のないデザインにする

    印刷時の発色を考慮した色設定

    DTPデザインでは、印刷時の色味が 画面とは異なる ため、適切な色の設定が求められます。

    • CMYKカラー を使用し、印刷時に色が変わらないようにする
    • 特色(PANTONEカラーなど)を使用し、ブランドカラーを正確に再現する
    • 色の組み合わせによるコントラストを意識し、視認性を確保する

    読みやすさとデザインのバランス調整

    DTPデザインでは、見た目のインパクトと読みやすさを両立させることが重要です。

    • 強調したい部分は 太字・色変更・囲み などを活用
    • 余白を適切に配置し、視認性を向上させる
    • 文字と背景のコントラストを適切に調整する

    WebデザインとDTPデザインの比較(表まとめ)

    項目 Webデザイン DTPデザイン
    視線の流れ Z型・F型レイアウトが主流、スクロール可 Z型・F型レイアウトが基本、固定
    フォントサイズ px単位(16px以上推奨) pt単位(9~12pt推奨)
    文字間隔 CSSで調整可能 カーニング・トラッキング調整が必要
    色の扱い RGB(光の三原色) CMYK(印刷用4色)
    動き アニメーションやスクロール対応 静的(紙媒体)
    修正のしやすさ コード変更で簡単に修正可 印刷後の修正不可(事前チェックが重要)

    まとめ

    WebデザインとDTPデザインは、それぞれ 媒体の特性 に応じたデザインの考え方が必要です。

    • Webデザイン は、ユーザーが操作しやすく、どんなデバイスでも快適に閲覧できる ように設計することが重要です。
    • DTPデザイン は、視認性や美しさを重視し、印刷時の仕上がりを最適化する ことが求められます。

    どちらのデザインも、最終的には 「情報を正しく伝える」 ことが目的ですが、手法や考え方が大きく異なります。それぞれの特性を理解し、適切なデザインを行いましょう。

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このコラムを書いた人

さぽたん

AdvisorDirectorDesignerFront-end-engineer

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