ARPスプーフィング(ARP Spoofing)は、ネットワーク上で行われる攻撃手法の一つです。ARP(Address Resolution Protocol)は、ネットワーク上のIPアドレスとMACアドレスを関連付けるためのプロトコルであり、ネットワークデバイスが通信を行う際に利用されます。
ARPスプーフィングでは、攻撃者が自身のMACアドレスを他のネットワークデバイスのIPアドレスと関連付けることによって、通信の中継や盗聴、改ざんなどの攻撃を行います。具体的な手順は以下の通りです。
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攻撃者は、ネットワーク上の他のデバイスと同じIPアドレスを持つ仮想的なデバイスを作成します。
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攻撃者は、ARPスプーフィングツールを使用して、攻撃対象デバイスに対してARPレスポンスを送信し、攻撃者自身のMACアドレスを攻撃対象デバイスのIPアドレスに関連付けます。
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攻撃対象デバイスは、ARPレスポンスを受け取り、自身のARPキャッシュ(関連付け情報)を更新します。以後、攻撃者のMACアドレスを攻撃対象デバイスのIPアドレスに関連付けて通信を行おうとします。
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攻撃者は、攻撃対象デバイスとの通信を盗聴したり、改ざんしたりすることが可能になります。
ARPスプーフィングの攻撃は、ネットワーク内のデバイス間の通信を傍受または操作するために使用されます。攻撃者は、パスワードや個人情報の盗聴、通信内容の改ざん、中継攻撃などを行うことができます。
ARPスプーフィングへの対策としては、以下のような手法があります。
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ARPキャッシュの監視: ネットワーク内のデバイスでARPキャッシュを監視し、不正なARPレスポンスを検出することが重要です。異常なARPキャッシュエントリを検知した場合は、適切な対策を講じます。
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スイッチのセキュリティ機能の活用: スイッチにはARPスヌーピングやARPインスペクションといったセキュリティ機能が備わっている場合があります。これらの機能を活用してARPスプーフィングを防止することができます。
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ネットワークセグメンテーション: ネットワークを複数のセグメントに分割することで、ARPスプーフィング攻撃の範囲を限定することができます。
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ネットワークベースのセキュリティ対策: ファイアウォールやIPS(Intrusion Prevention System)などのネットワークベースのセキュリティ対策を導入することで、ARPスプーフィング攻撃の検知や防止が可能です。
ARPスプーフィングはセキュリティ上の重要な脅威であり、適切な対策を講じることが重要です。ネットワーク管理者は、定期的な監視とセキュリティポリシーの実施を通じて、ARPスプーフィング攻撃に対する防御を強化する必要があります。